誰かの人生の生き方や死生観を聞いて、自分らしく生きてくことは何かのヒントを見つけたら。 人生100年時代、自分らしく生ききるとは何かを求めてお話を伺いました。
終活は自分らしく過ごせる準備
私の母は現在65歳で、まだ現役で働いています。家族の中でも特に活発で60歳を過ぎても一線を退く気配もなく、パートではありますが週に4日勤務し職場でも若手に頼られる存在のようです。私自身成人してからは母と過ごす時間が減り、互いに連絡するのは年に数回程度年末年始やお盆の帰省が主な顔合わせの機会でした。仕事が大好きで退職後の生活についてあまり考えていないように見えましたが、ある日「私もそろそろ終活を考えないとね」というメッセージを送ってきたのです。普段からそんな話をするタイプではない母の口から出た「終活」という言葉に驚きましたが、それと同時に「母も年を取ってきているのだな」と改めて実感しました。

次に帰省した際少し母と話す時間を取ろうと声をかけると、「私もこれからのことを少しずつ整理し始めようと思っている」と終活について静かに語り始めます。何もかも整理してしまうことではなく、「自分らしく過ごせる準備」だったようです。自分がいなくなった後、私たち子どもが困らないようにという気持ちも強くあるようでした。私が「まだまだ元気なんだから急ぐこともないよ」と言うと「でもね、いつ何があるか分からないものよ」と笑っていましたがその言葉の裏には見えない不安も感じ取れました。
実は母が終活を考えるきっかけになったのは、職場の同僚が突然倒れて意識を失いそのまま亡くなったことだったそうです。その同僚は同じ年代で親しい友人だったため、「いつか私にもこんな日が来るのかもしれない」という現実を感じたと言います。そのとき「このまま何も準備していない自分では後悔するかもしれない」と思ったそうで、それから少しずつ家の中の片付けを始めたと話していました。「私も最期のときには周りに迷惑をかけずちゃんと自分の意思を残しておきたい」と母が言うのを聞いて、私は真剣さを改めて感じます。


元気に働いている母が
遺言を書く
母の終活の話題で特に印象的だったのは、「遺言を残しておきたい」と言ったことです。正直まだ元気に働いている母から「遺言」という言葉を聞くとは思っていなかったため、驚きと寂しさが入り混じる複雑な気持ちになりました。しかし母は「何か特別な財産があるわけじゃないけど、残される側が困らないようにしておきたいし自分の気持ちも伝えておきたい」と話しすでに簡単な遺言の内容をノートに書き始めています。そのノートには「自分らしく」ありたいという母の気持ちが丁寧に綴られており、どのように見送ってほしいかやお世話になった人たちへのメッセージが書かれていました。普段は冷静であまり感情を表に出さない母ですが、このノートを読んで「自分の最期について真剣に考えているんだな」と感じます。

「自分がどのように見送られたいか」という話もしてくれました。「認知症などや、動けなくなってしまったときには無理な延命治療は受けたくない」と穏やかに話し、最後までできる限り「自分らしく」いられる方法を考えていると言います。自分の最期についてこんなふうに具体的に話してくれるのは初めてのことで正直私は心の準備ができておらず、母の言葉をしっかり受け止めるまでに時間がかかりました。それでも「私らしくありたい」という思いはとてもはっきりでおり、その意思を私も尊重したいと思うようになります。

母とこうした話をする中で、私自身の人生観や死生観も少しずつ変わり始めました。これまではただ「まだ先のこと」と思っていたことが母の言葉を通じて現実的なものになり、「自分の最期もちゃんと考えておくべきなのかもしれない」と考えるようになったのです。母が元気で働いている今終活について話し合える時間を大切にし、いつか訪れる別れの時が訪れても後悔のないように母との時間を大事にしていきたいと思っています。
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